【偽書】虹メイル・アン 〔第七話〕青空と海よりの使者の帰還 7

「それもあるが…。まあ、確かめようは無いけれど、場合によっては監視を付けなくてはならないかも知れないな。で、いつ出発するんだい?」

「一週間後の火曜日だよ」

「そうか。くれぐれも気をつけてくれよ。何かあっても我々日本の警察機構では手出し出来ないんだからね」

「うん。気をつけるよ」

「向こうの大使館へは、警察からも連絡を入れてはおくよ。国が国だけにあまり当てには出来ないかも知れないけれど」

「ありがとう。難波刑事(さん)」

「ようこそいらっしゃいました。あの高名なメイル工学の大家、ドクター敷島のご子息が我が国家に観光とは。是非とも我が国家の素晴らしい名所や技術を見聞して行って下さい」 外務大臣付きの次官が僕等を国際空港まで出迎えるという国賓級の待遇で、この国は僕等にいきなりのプレッシャーをかけてきた。

国営テレビに国営新聞社、国がスポンサーの雑誌や国が閲覧規制をかけているネットメディアなどが密着取材と言う名で僕等の動きを規制するつもりの様だ。

「下手に警官や役人を付けられるよりもやりにくいね。ぞろぞろカメラを抱えた取材陣が全ての外出先に隊列をなして来られては」

不満顔のメルティにアンは笑って答える。勿論二人の表情は言葉の内容に対して機械的にそう見える動作をしているだけなのだけれど。

「まあ、これは奈尼香女史からのレクチャーで織り込み済みの話ですけれどね」

入国に当たり、元警察官で私立探偵事務所の奈尼香は僕等にこの国の注意点を事前に事細かに説明してくれていた。

この国の役人は異常にプライドが高く、まあ、それはどこの国でも似たり寄ったりらしいけれど、一番厄介なのは、表立って上役や国家に対する不満や批判は粛正の対象になり得るから、否定的な言葉を使わず、それはそれこれはこれとして受け流す事。一般市民はかなり酷い生活振りだが、それを話題に取り上げてはいけない事。軍事的な話題はこちらからは一切してはならない事。逆に向こうから国の軍事力を誇る発言には素直に驚いてみせる事…など。

チェックインしたホテルの部屋は最上階で、窓から街を見渡すと、大きな通りの角々には警察官が二名づつ立っていた。

「あれも市民を守る為ではなく、国家に楯突く不穏分子の市民が居ないかを監視している警官とサポートのメイル警官なんでしょうね」

サニーは僕の横でそう言った。

その横でリンダが笑って言う。

偽書】虹メイル・アン 〔第七話〕青空と海よりの使者の帰還 6

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